彩の国シネマスタジオ 埼玉会館上映会
『秘密への招待状』

2006年にアカデミー賞®外国語映画賞にノミネートされ、世界各国でも高く評価された、デンマークが誇るスザンネ・ビア監督の『アフター・ウェディング』。この作品に惚れ込んだ、オスカー女優のジュリアン・ムアーと、彼女の夫で監督のバート・フレインドリッチが製作に乗り出し、夫婦でプロデューサー、主演、監督という贅沢なタッグを組み、豪華ハリウッドリメイクを実現させた。

オリジナル版では男性二人が主人公だったが、世界中で沸き起こるジェンダー問題を考慮するとともに、より今日的な作品にアップデートするために、ハリウッド版では女性二人に変更された。ジュリアン・ムアーが演じるテレサは、ゼロから起業して億万長者の会社経営者となった人物で、キャリア、結婚、子どもと、欲しいのも全てを手に入れてきたニューヨークで自分の夢をかなえ続ける女性だ。一方、ミシェル・ウィリアムズが演じるイザベルは、社会の不平等と戦う理想主義者であり、家族はなく独り身で、優しさと強い自立心を持った人物で、インドで子どもたちの夢をかなえる手助けをしている。

住む世界も考えも全くちがう二人が、生みの親と育ての親という立場になり、愛と葛藤に引き裂かれていく姿を、ハリウッドのトップに立つ俳優たちが繊細かつエモーショナルに演じきった作品となっている。

息をのむような色彩にあふれたインドと、洗練されたクールなニューヨークで撮影を敢行。広大な庭が美しいテレサの邸宅には、著名な造園デザイナーの自宅が使われた。

長きにわたって隠された真実が暴かれ、古傷の痛みに苦しむ4人の親子。だが、ようやくそれも乗り越えて前向きな関係が生まれたかと思うその時、テレサが‥‥

果たして、テレサが人生をかけた一世一代の”嘘”と、新たな”秘密”とは？人間という存在の奥深さに、心が震えずにはいられないヒューマンドラマだ。

あらすじ

インドのカルカッタのスラム街で、孤児院の運営に人生のすべてを捧げているイザベルは、資金不足に頭を痛めていた。そんなイザベルのもとに、200万ドルを寄付するから、ニューヨークまで会いに来てくれという話が舞い込む。他の子どもになじめないジェイという男の子を、我が子のように心配しているイザベルは代理を頼もうとするが、先方から本人でないとダメだと言われてしまう。

イザベルを呼んだのは、22年前にゼロから起業し、今や全米一のメディア代理店のトップに立つ、億万長者のテレサだった。超高層ビルの広々としたオフィスに迎えられたイザベルは、さっそくインドの現状を説明しようとするが、テレサは週末に結婚する娘のグレイスのことや双子の息子のことなど自分の話ばかりをするのだった。挙句の果てに寄付の件はもう少し精査させて欲しいと言われたうえに、結婚式への出席まで強引に決められてしまう。

車の渋滞で遅れて結婚式に出席したイザベルだったが、そこで愕然とする光景を目の当たりにする。最前列のテレサの隣に座る彼女の夫オスカーは、イザベルが18歳のときの恋人で別れた男だった。そして彼との間にできて養子に出したはずの娘が結婚式の主役グレイスだったのだ。一方、自分を産んだ母親は死んだときかされていたグレイスも、イザベルのことを知りショックを受けるのだった‥‥

ともにそれぞれの想いが各人のわだかまりを溶かし、家族の絆を取り戻し新たな絆を結ぶ幸せな関係性が見え始めたとき、テレサは‥‥

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